学科長あいさつ
三重大学における看護教育は、昭和23年に三重県立医学専門学校附属医院甲種看護婦養成所として始まりました。その後、三重県立大学医学部附属高等看護学校、三重大学医学部附属看護学校、三重大学医療技術短期大学部を経て、平成10年に4年制の医学部看護学科となり、現在に至っています。三重大学で看護教育が始まって75年、4年制の大学教育となってから25年が経過しました。このような伝統を守りながらも、社会の要望や医療情勢の変化を的確に捉え、看護教育の変革に取り組んでいます。 地域医療構想の実現や地域包括ケアシステムの推進に向け、医師・看護師・助産師・保健師・薬剤師・栄養士・理学療法士など多職種が連携して適切な保健・医療・福祉を提供することが期待されています。中でも看護職には対象となる方の多様性に応じ、ケアを提供する能力が求められています。その期待に対応するために指定規則の改正を受けた新カリキュラムが令和4年度から開始されました。三重大学医学部看護学科では、論理的・批判的思考やリサーチマインドを強化して、豊かな人間性と高い専門的資質を備え、地域あるいは国際的な視点に立って活躍できるリーダーを育成します。
三重大学では、幅広い教養の基盤に立った高度な専門知識や技術を有し、複雑化する社会に対応できる人材を育成するために、学生の「感じる力」「考える力」「コミュニケーション力」「行動する力」が修得できる教育を強化しています。看護職としての豊かな人間性を育むためには、他者の痛みを「感じ」、他者の立場から物事を「考え」、問題解決に向けて主体的に「行動する」能力を身につけることが求められます。その達成に向けて、講義でのグループワークやゼミナールでの少人数教育を実施し、学生の主体性の尊重、論理的思考力や批判的思考力の強化、コミュニケーション能力の向上を図っています。また、看護実践能力の修得には、学内演習や臨地実習での実践的な学びが重要であり、教育方法の工夫を行っています。その一例として、医学部附属病院看護部との交流により、臨床の看護職が学生の演習や実習にファシリテーターとして関わる制度(CNTAP:Clinical Nurses Teaching Assistant Project)をつくり、実践力強化に努めています。
卒業時に修得する能力だけに着目するのではなく、卒業後、自ら考え、学習した知識・技術を統合できる力を獲得できるように、継続して学び続けるための基本姿勢や将来のキャリア開発を視野に入れた学修支援を目指しています。
令和5年5月