細菌叢由来ペプチドが炎症と凝固を促進しCOVID-19に関連する急性肺障害を悪化させる

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、重症例において急性肺障害(ALI)を併発し致死的な呼吸不全を引き起こすことや、高頻度で血液凝固異常を引き起こし血栓症が多発することが知られています。また近年、細菌叢がCOVID-19の重症化に関連することが報告されていますが、詳細なメカニズムは不明でした。このたび、三重大学大学院医学系研究科免疫学講座の研究グループは、同グループが発見した細菌由来の細胞死を誘導するペプチドであるcorisinがCOVID-19患者の血液中で増加し、血液凝固マーカーと関連することを明らかにしました。さらにCOVID-19のウイルスであるSARS-CoV2のスパイクたんぱく質を気道内に投与して作成した急性肺障害のマウスにおいて、corisinを抑制することにより病態が改善することを明らかにしました。今回の研究成果は、細菌が産生するペプチドがCOVID-19に関連する急性肺障害や血液凝固異常の原因物質となりうることを示す世界で初めての報告であり、細菌由来のペプチドを標的にした新しい治療法の開発につながることが期待されます。研究結果については、国際血栓止血学会の学会誌であるJournal of Thrombosis and Haematosis オンライン版に令和6年3月5日付けで掲載されました。

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NEWS RELEASE(三重大学)