神経病態内科学 新堂教授着任のご挨拶を掲載しました。

〈2022.07.01〉
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 2022年7月1日付で三重大学大学院 医学系研究科 神経病態内科学(脳神経内科)教授を拝命いたしました新堂晃大(しんどうあきひろ)と申します。私は三重県松阪市の出身で1995年に三重大学医学部に入学、2001年に卒業をしました。学生時代、授業や病院実習で実際の患者さんを症状の推移や診察から先生方が病変の指摘、診断から治療に至ることに興味を持ち神経内科の道を志しました。当時は卒後臨床研修制度の始まる前の時代でしたので卒業後すぐに神経内科(初代教授 葛原茂樹先生)に入局し、研修医として勤務させていただきました。そこでは神経内科のみならず内科や外科、さらに脳神経外科、整形外科で研修をさせていただき、様々な疾患を経験させていただいております。その後は県内の医療機関で診療をさせていただき、2005年から三重大学医学部附属病院での診療をさせていただいております。神経内科医として脳卒中、脳炎などの急性期疾患から神経変性疾患、神経・筋疾患、末梢神経障害などの診療を行い、専門医取得をしながら、脳卒中による神経症候や紀伊半島の神経変性疾患である牟婁病の高次脳機能について学び研究を始めました。
 2008年、当科は新たに冨本秀和教授が新たに就任され、脳血管障害を中心とした研究が始まりました。私は2009年に大学院へ進学し、基礎研究や臨床研究をさせていただいております。2013年に学位を取得させていただき、2014年から2年間米国マサチューセッツ総合病院/ハーバード大学へと留学をさせていただいております。留学中は中枢神経系の様々な細胞の初代培養作成技術や脳血管障害のマウスモデル作成を行い、脳血管障害の新たな治療法開発の研究に取り組みました。2016年に帰国後からは留学で得た技術を生かし、in vitro, in vivoといった基礎研究から、心房細動の患者様の認知機能、MRI画像や剖検脳を用いた研究など様々な内容の研究を行っております。当科で行った研究は循環器内科、血液内科、放射線科、脳神経外科、救急科の先生方や衛生学教室の先生方など三重大学内で様々な診療科、教室の先生方にご協力いただき実施できたもので、これは教室間の垣根が低い三重大学だからこそ可能であったものと考えます。このように三重大学ではそれぞれの教室と連携できることがとても素晴らしく、今後も様々な教室の先生方と共同研究などでできるように連携できればと考えております。
 診療に関しまして、神経内科では脳や脊髄といった中枢神経系疾患、神経筋接合部や筋疾患、また末梢神経障害まで幅広い疾患がその対象となります。救急疾患では脳炎や髄膜炎といった炎症性疾患、脳血管障害があり、近年脳血管障害に対しては血栓溶解療法や血管内治療の発展が目覚ましい領域です。さらに神経変性疾患でも脊髄性筋萎縮症などでは新たな治療が出現し、これまで不治の病といわれていた一部の神経難病でも治療が行えるようになりました。三重大学脳神経内科では、大学病院として高度先進医療を開発、提供すること、さらには三重県内の基幹病院で様々な疾患に対する治療が可能となる体制を構築することが必要と考えます。さらに教育面では卒前・卒後教育を通じ地域医療から高度先進医療まで様々な場面で活躍できる医師の育成に取り組んでいきます。これらの教育と診療を通じて三重県の地域医療を担う神経内科医の育成を行ってまいります。 この三重大学をさらに発展できるよう、また三重大学のみならず三重県の医療に少しでも貢献できるよう努めさせていただきます。そしてこれから多くの方々と出会い一緒に学び診療ができることを楽しみにしております。