角甲教授就任のご挨拶を掲載しました。

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 2023年4月1日より、三重大学大学院医学系研究科看護学領域の教授を拝命いたしました角甲純と申します。何卒よろしくお願い申し上げます。
 私は広島県の出身で、2006年に広島大学医学部保健学科看護学専攻を卒業後、広島県の市中病院に就職し、その後、国立がん研究センター中央病院で臨床経験を積んだのち、東京大学大学院医学系研究科のがん看護専門看護師コース(修士課程)に進学しました。修士課程では、がん看護専門看護師の認定資格の取得を目指した教育を受け、修士論文では、関東甲信越地方の緩和ケア病棟に勤務する看護師の方を対象に、呼吸困難に対する看護ケアの実態調査を行ってまいりました。この実態調査が私にとって初めての研究だったのですが、指導教員の先生方や研究室のメンバーの方にお世話になりながら、研究計画から学会発表、論文化まで行うことができました。修士課程修了後には、国立がん研究センター東病院で勤務する機会を頂き、緩和ケア病棟に配属していただきました。緩和ケア病棟では、緩和困難な症状を経験されている方もいらっしゃいますが、その中で、どのようなケアが届けば、患者さんやご家族が笑顔で過ごせる時間が少しでも増えるだろうかと考える機会がたくさんありました。このような臨床経験から、終末期がん患者さんが体験される症状緩和をテーマに研究に取り組みたい思いが強くなり、呼吸困難に対する送風療法の有効性の検証を行ってきました。送風療法は、「扇風機を用いて顔に向かって風を当てる」というとても簡便な支援で、以前から「呼吸困難に効果がありそうな支援」として、看護関連のテキストには紹介されていましたが、リサーチエビデンスとしては確認されていないという状況がありました。多くの方のご支援をいただきながら、ケースシリーズ研究、パイロット研究、無作為化比較試験、メタアナリシスと行うことができ、また、その成果について知人の医療者から、「論文読んだよ」「外来で患者さんに勧めているよ」という声を聞くことで臨床に還元できているように思え、嬉しく感じていました。また、送風療法の有効性に関する無作為化比較試験では、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科において博士(医学)の学位を取得しました。現在は、臨床実践とリサーチエビデンスのギャップに関する研究と、片側胸水貯留による呼吸困難の緩和に関する研究などに取り組んでおります。
 2018年からは看護教員の道に進むことを選択し、広島大学、兵庫県立大学にて学部教育とともにがん看護専門看護師を目指す大学院生の方の学びのサポートを行ってきました。今後は、三重大学ならびに三重県、国内外の看護研究や緩和ケア領域の研究を推進すべく、尽力したいと考えております。また、教育活動としては、次代を担う看護師の育成とともに、今後のがん看護および緩和ケア領域における研究を牽引できる人材を育成することを目標に努めさせていただきます。先生方におかれましては、ご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
看護学専攻 角甲 純