三重大学医学部運動器外科学・腫瘍集学治療学教授就任のあいさつ

三重大学大学院医学系研究科運動器外科学・腫瘍集学治療学(整形外科学)
長谷川 正裕

 令和6(2024)年10月1日付けで三重大学大学院医学系研究科運動器外科学・腫瘍集学治療学(整形外科学)教授を拝命いたしました長谷川正裕と申します。整形外科の5代目教授として、私が務めさせていただいております。良き伝統を継承しながらも、更なるパワーアップを目指して、臨床、研究を盛り上げますので、ご指導ご鞭撻よろしくお願いいたします。

 私は三重大学医学部卒業後すぐに三重大学整形外科に入局し、三重大学医学部附属病院の研修医となり、その後、松坂市民病院、紀南病院に勤務しました。大学院では軟骨、生体材料の基礎研究を行い、実験レベルでは、人工軟骨の有用性を示しました。大学院での研究生活を終えて、人工関節置換術の手術手技を学びに、朝日大学村上記念病院に赴任しました。3年以上学んで、2001年に三重大学医学部附属病院に帰学しました。それ以来、先生方には、大変お世話になり、股関節、膝関節の人工関節置換術を中心に、日々診療を行ってきました。特にコンピューター支援整形外科手術(CAOS: Computer Assisted Orthopaedic Surgery)を積極的に取り入れてきました。ナビゲーションやロボットを用いた人工関節置換術を早くから行い、更なる治療成績向上を目指しております。さらに、拡張現実(AR: Augmented Reality)の応用もCAOSに取り入れ、最先端の取り組みをしております。2026年3月には日本CAOS学会を三重県津市で開催させて頂く予定です。

 三重大学マトリックスバイオロジー研究センターのセンター長も拝命しており、テネイシンCの関節研究に関して、多くの研究成果を報告してきました。テネイシンCのフルレングスおよびペプチドであるTNIIIA2が軟骨変性抑制薬、すなわち変形性関節症の予防薬、軟骨修復薬となる可能性を示してきました。テネイシンC以外のマトリックス細胞タンパクではトロンビン切断型オステオポンチンのN端側フラグメントの関節での発現を研究しました。マトリックスバイオロジー研究センターは三重大学のセンター認定が終了後も、医工連携を行い、マトリックスの研究を発展させていきたいです。

 現在の三重大学整形外科は私の専門としています股関節・膝関節外科をメインとした関節班のほか、脊椎班、腫瘍班、スポーツ班、上肢外科班があり、それぞれ、専門的な治療を行っております。三重県内のほぼすべての病院が三重大学整形外科の関連病院です。大学病院、関連病院において、多くの医師がハイレベルの教育を受けて、患者さんの治療にあたらせていただいております。

 最先端の研究を目指しながらも、地域医療の充実も、三重大学整形外科の重要な課題です。大学と関連病院が一丸となって、診療に従事することはもちろん、地域の特性をいかした多施設共同研究の充実も図りたいと考えています。若手医師の育成、国際的に通用する研究のさらなる推進、最善かつ最先端の医療実践を3本柱として、これからも一層の努力を重ねて参ります。どうぞ今後とも変わらぬご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。