エレクティブ実習ザンビア
2025年4月、私はザンビア大学附属病院にて4週間の臨床実習に参加し、小児科・循環器内科・消化器内科をローテートしました。小児科では、日本では稀なマラスムスをはじめとする重症疾患の診療に携わることができ、循環器内科では、心不全を中心に複数の疾患を併発する患者も多く、限られた医療資源の中で的確な優先順位をつけながら診療を行う現地医師の姿に深く感銘を受けました。また、消化器内科では腫瘍による小腸閉塞に対する内視鏡的対症療法の実施や、治療方針の決定過程を間近で学ぶことができました。 医療設備や記録体制の面では、電子カルテが導入されておらず、紙ベースの煩雑な管理に戸惑いを覚える一方で、創意工夫を凝らしながら診療を継続する現場の努力に心を打たれました。日常生活においても、日本とは異なる文化や価値観に触れ、当初は驚きや戸惑いもありましたが、次第にそれらを受け入れ、理解を深めていくことができました。 また、ザンビアで唯一心臓血管外科を担う国立心臓病院では、日本のNGOによる持続可能な技術支援の現場を見学し、真に意味のある国際医療協力のあり方を考える機会となりました。週末には、ビクトリア・フォールズやサファリ、南アフリカ・ケープタウンを訪れ、アフリカの自然と多様な文化に触れ、とても充実した4週間を過ごすことができました。今回の実習は、医学知識の習得にとどまらず、「なぜ自分は医師を志したのか」「医療者として何を大切にしたいのか」といった根本的な問いと向き合うきっかけとなり、自身の原点を見つめ直す大きな契機となりました。
医学科6年 佐々木拓海