カリキュラムの概要

先進的な学習で自主性と実践力を高める、充実した6年間

自分で考え、自ら学び、自ら成長できる、本当の実力を備えた医師になるための充実した6年間が送れます。

1.共通教育

医師には高度な専門性だけでなく、多様な観点をもつ幅広い教養や豊かな人間性も求められます。共通教育では総合大学に相応しく医学部のみならず、人文・教育・工・生物資源学部の教員が開講する様々な分野の講義を受講することができます。また、医学部校舎と共通教育校舎が同じキャンパスにあるので移動も比較的容易で、2年生以降も興味ある授業を選択することができます。他学部の学生と交流することで、様々な気づきを得ることができます。
データサイエンスの授業では、1年間を通じてパソコンやアプリケーションの基本的な使い方、医療統計の初歩的な見方を学びます。情報社会がますます加速する中で、時代に応じたスキルを身につけます。
新たに必修となったキャリア教育入門では、医師としてのキャリアを知り、自分に当てはめて考えることで医師としての理想像を描きます。6年間の医学教育で、目標を持った学びを実現できます。
さらに、医学教育からヒントを得たPBL形式(問題基盤型)の授業も多数開講されています。他の人とコミュニケーションをとり、目的意識を持って行動することで、問題解決能力を養います。


2.初期医学教育

初期医学教育では、専門的な医学を学習する前から、医療(学問としての医学を基にした社会インフラ)の果たす役割を学ぶのが目的です。附属病院早期体験実習では医療者と患者さんとの関わり方を実際に見て学び、将来、医療者として働くイメージを持つことができます。地域基盤型保健医療教育実習では、行政や保健所の業務内容や現場での課題をインタビューします。実際に地域の方にも聞き取りを行い、その調査結果に基づいて自分達で考えた地域貢献活動を実践します。
医学英語の授業も開講されます。現在診療録(カルテ)にはほとんど日本語が用いられていますが、医学論文から新しい知識を学んだり、新しい発見を公表したりするためには、専門的な英語能力が必要になります。英語での医学に関するプレゼンテーション、医師と外国人模擬患者役に分かれての英語でのロールプレイ、海外の大学に短期留学する際の自己推薦文の書き方を学びます。アドミッションポリシーに示されているような、国際社会での健康増進に寄与する意識が育まれます。


3.基礎医学教育

医学の基礎は、様々なレベルで生命現象を理解することです。
1年次では「分子生命体科学」でミクロレベルの分子細胞生物学の基礎理論を学びます。2年次の「生体の構造と機能」「生体防御の分子基盤」では1年次のミクロレベルでの仕組みを理解したうえで、その生理的な機能や異常を学びます。「分子医学実習」では、実際に五感を使って実習に参加することで授業で学んだ知識を深めます。
2年次は学ぶべきことが膨大ですが、医学生の最初の関門として必死で勉強します。
3年次の「社会と医学」では疫学や社会環境・社会情勢と健康の関係を学びます。法医学では人の生死と向き合う学問なので、倫理観も同時に養われます。
基礎医学教育の総復習として「系統解剖実習」が行われるのが本学の特徴の一つです。基礎医学を網羅的に学習した上で行います。御献体の解剖学的構造を理解するのはもちろんのこと、そこでの生理現象や分子レベルでの現象に想像を馳せることでこれまで学んだ知識を統合させていきます。人の死と向き合う数ヶ月間になるので、医師を志す者としての自覚と覚悟を再認識させられます。

■生体の構造と機能■ ■生体防御の分子基盤■ ■社会と医学■ ■分子医学実習■
解剖学
生化学
生理学
病理学
薬理学
分子病態学
微生物学
免疫学
医動物学
衛生学
公衆衛生学
法医学
生化学
薬理学
分子病態学
微生物学
免疫学


4.研究室研修

医学・医療の進歩を支えるのは、一部の医学研究者ではなく、多くの医療・医学に関わる人々です。「研究室研修」では、約1年間、学生全員が研究体験をすることによって、医学・生命科学研究への関心を高め、科学的な観察力、洞察力、批判的考察力などを身に付けることを目指します。さらに、研究の成果を国内外の学会や論文で発表することもできます。また、医学研究に興味のある学生は、「研究室研修」以外にも6年間通して研究活動に参加する「新医学専攻コース」に参加することができます。同コースでは、教員の指導の下、新しい知識や実験手技を学び、研究を通した人類への貢献の喜びを感じることで、医学研究者として第一歩を踏み出します。なお、「研究室研修」と「新医学専攻コース」において所属する研究室は基礎医学と臨床医学の研究室から選択することができます。


5.チュートリアル教育問題基盤型(PBL)

第3学年の9月から第4学年の12月までの1年4ヶ月間は、講義と並行してPBLチュートリアルが実施され臨床医学を学びます。PBLチュートリアルとは、学生の自律的学習と少人数のグループ学習による問題基盤型学習のことです。具体的には、グループ学習前に自らが行う課題症例の学習、自学自習した内容の文章化・他の班員との共有・それらの情報に基づく討論で構成されています。その学習過程で、臨床推論や検査方法、治療方法といった実際の患者に対して医師が行うことを学ぶとともに、臨床医学とこれまでに学んだ基礎医学との関連付けを行います。なお、課題症例は実際の患者診療をもとに、学習教材として再構成された症例です。本教育によって、医師および医学研究者に求められる自律的な学習能力、文章表現力、問題解決能力、討論・コミュニケーション能力を修得することができます。


6.基本的臨床技能教育

第4学年では、患者とのコミュニケーション、病歴聴取、診察、臨床推論、基本的検査・治療手技、診療録記載に必要な基本的臨床技能を学びます。トレーニングを受けた模擬患者が参加する医療面接実習、多くのシミュレータが設置されたスキルズラボ(臨床技能実習室)を活用した身体診察、基本的検査治療手技実習が行われます。


7.共用試験

PBLチュートリアルで学んだ知識は、共用試験実施機構によるコンピュータ支援学力試験(Computer- based test, CBT)で評価されます。
また、基本的臨床技能教育で学んだ臨床技能は、共用試験実施評価機構による客観的臨床能力試験(Objective Structured Clinical Examination, OSCE)で評価されます。
共用試験CBT/OSCEには、臨床実習で必要な知識・技能の修得を確認する目的があります。そのため、病院・診療所での臨床実習に参加する資格として、CBT/OSCE に合格する必要があります。
三重大学のCBT/OSCEは、例年、秋から冬に実施されており、4年生は試験に向けて、友人と協力して自主的な勉強を行います。
また、令和5年度から臨床実習前の共用試験CBT/OSCEは法律に定められた公的試験として実施されています。


8.臨床実習

第4学年1月から第5学年3月までの期間、本学医学部附属病院と地域の関係教育病院・診療所において、全診療領域でのローテーション型臨床実習に参加します。従来の見学型臨床実習から脱却した診療参加型臨床実習であるクリニカルクラークシップ方式を、本学では他大学に先駆けて導入しています。医療チームの一員として診療に参加することで使命感を育み、患者と病気を理解しながら、実地診療を学んでいきます。医師としての責任感を自覚し、患者の立場に立った医療実践を学ぶことを目的としており、指導医の監督の下で一定レベルの医療行為や診療業務に参加します。


9.選択的臨床実習

第6学年臨床実習では、本学医学部附属病院専門診療科、地域の医療機関、海外交流大学の教育病院での約4ヶ月間の臨床実習に参加します。
本実習では、卒業後のキャリアパスを考えて、希望する病院、診療科を選択することができます。実習先は大学病院だけではなく、多くの市中の病院や診療所も含まれます。また県外の医療機関で実習を行うこともあります。
また、米国・欧州だけではなくアジア・アフリカの国々での実習機会もあり、海外で実習を行う学生には、日本学生支援機構などからの援助制度もあります。
海外臨床実習は、日本とは異なる医療制度や医療文化を経験することで、幅広い視野で日本の医療に貢献する能力を修得する機会を与えてくれます。


10.卒業試験・医師国家試験

6年間の医学教育カリキュラムで学んだ成果は、第6学年後期に行われる卒業試験で評価されます。卒業試験に合格し、卒業認定を受けた学生が国家試験を受験することができます。
医師国家試験は、医師になるための資格試験です。医師国家試験は、毎年2月に実施され、試験期間が2日間、試験問題は医学の全領域から400問が出題される試験です。合格率の全国平均は90%前後です。三重大学医学部医学科学生の合格率の高さは学内外から高く評価されています。令和4年度の新規卒業生の合格率は、98.4%でした。


11.臨床研修プログラム

大学は先人の積み重ねてきた膨大な知識を受け継ぎ、後世の若者に伝えるだけではなく、自分で新しい真実を発見する場でもあります。
医学科には、6年間の学部の勉強の空き時間を利用して、大学院の研究生活を先取りしてしまう「新医学専攻コース」があります。研究指導を受ける研究分野の教員や大学院生、同じコースの上級生など、さまざまな人とふれあい親しくなるチャンスにもなります。自分がみつけた研究成果を、国際学会や国際的な科学雑誌に発表してみませんか?
すでに、たくさんの先輩が新医学研究コースで貴重な研究者体験をしています。



12.三重大学医学部附属病院臨床研修プログラム

医学部を卒業し、医師国家試験に合格すれば、プライマリ・ケアを中心とする幅広い診察能力の修得を目的とした2年間の初期臨床研修に進みます。三重大学医学部附属病院では、大学病院と県内外の研修協力病院との連携の下に、以下のような充実したプログラムを提供しています。

1.研修医が目標達成に向けて自由に選択できるプログラム
2.初期研修と専攻医修練が効率的に繋がるプログラム
3.各診療科の指導医の下できめ細やかな指導を受けられるプログラム
4.ローテーション診療科の特性に沿ったクリニカル・スキルを身に付けることができるプログラム
5.将来の専攻希望に応じて検査・治療手順を学べるプログラム
6. 担任が目標達成までサポートするプログラム


13.大学院医学系研究科

三重大学では、大学院大学として、医学研究を推進する大学院医学系研究科を併設しています。医学は日進月歩の勢いで急速に進歩しており、医療現場では、最先端の知識と技能が求められます。本学大学院医学系研究科は、世界に通用する最先端の研究を行う部門です。
大学院には、修士課程(2年制)と博士課程(4年制)がありますが、医学部医学科は、6年制ですので、医学部卒業後、修士課程を経ずに博士課程に進学することができます。同研究科には、志願者の希望に添う多くの研究分野が設置されています。


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カリキュラム紹介PDFファイル
新医学専攻コース登録申請書
 (登録は随時受け付けています。コースに登録を希望する学生は必要事項を記入して、学務課医学科担当に提出してください。)